【クライオポンプシステムで省エネ化を推進したい】

社員インタビュー Vol.3

 クライオポンプシステムの開発に10年以上たずさわる技術者。

 世界的に省エネルギーの意識が高まる中で、自律出力制御を実現させたPOWEREco シリーズ クライオ(エコクライオ)ポンプシステムで真空装置の省エネ化の実現に取り組む、駒井さんにお話を聞きました。


駒井さん


【入社までの経緯を教えてください。】

 2002年に大阪工業大学大学院工学研究科電気電子工学専攻を卒業し、キヤノンアネルバ株式会社(当時のアネルバ株式会社)に入社しました。

 大学院では、半導体や電子デバイスを試作・評価し、その特性を研究していましたが、同時に制御工学や半導体、電子回路の講義も受けていました。

 大学院の研究ではキヤノンアネルバのMBE装置を使っていました。就職活動中にキヤノンアネルバで募集があることを知り、使っていた装置の印象が良かったので、入社を決めました。


【入社後から現在の担当業務を教えてください。】

 入社後は、クライオポンプの技術グループに配属され、クライオポンプシステムの機能や性能の評価業務を行っていました。当時から制御システムに興味があったので、制御システムの技術について重点的に身につけていき、その後は設計担当を経て、現在はクライオポンプシステムの制御系の技術・開発を担当しています。

 具体的には、制御ユニットの開発や、社内外の真空装置に搭載されるクライオポンプシステムのシステム設計など、クライオポンプの制御系全般を担当しています。


【ご担当されている製品に関して特徴などを教えてください。】

 当社のエコクライオポンプシステムは、排気速度や最大排気容量などのポンプ性能が高いことに加えて、省エネルギー性能が優れていることが大きな特徴です。従来のシステムに対し、最大で約50%の省エネの実現が可能な場合もあります。

 クライオポンプシステムは、冷凍機を搭載したクライオポンプ本体とコンプレッサ、制御ユニットで構成されており、その電力の97%はコンプレッサで消費されています。

 エコクライオポンプシステムでは、クライオポンプ本体への輻射熱やガスなど変動する熱負荷に対し、冷凍機の出力制御によりクライオポンプの性能を支える温度を安定させ、それに合わせてコンプレッサの出力を制御しています。

 当社のエコクライオポンプの省エネシステムの特徴は、これまで固定されていたコンプレッサの出力を制御し、消費電力を低減する点にあります。

 冷凍機の出力はクライオポンプ本体に入る輻射熱やガスの熱負荷に応じて制御され、コンプレッサの出力は冷凍機で消費される高圧のヘリウムガス流量に応じて制御されるため、システム全体として熱負荷に応じた出力制御が行われ、その消費電力は必要最小限に抑えられる仕組みになっています。


【エコクライオポンプの自律出力制御とは?】

 通常、真空ポンプの省エネ方法としては、出力をセーブする省エネモードなどを設け、真空装置の稼働状況から装置の制御側で判断し、真空ポンプを省エネモードで運転させるのが一般的です。

 ただし、この方法はかなり大まかな切り換えになりますし、無理して省エネしようとすると排気性能を悪化させてしまうこともあります。

クライオポンプ説明図_1

 当社のエコクライオポンプシステムは、クライオポンプ本体への熱負荷に応じて自律的に出力の制御を行うため、システム外部で判断し信号を入れる必要がありません。ある意味搭載するだけで勝手に省エネ運転を行ってくれるのです。

 きめ細やかで理想的な出力制御が行われますので、最大限の省エネ効果が得られますし、排気性能への影響もありません。


【省エネ効果の測定方法は?】

 クライオポンプ本体への入熱量によって、必要な温度を維持するためにどれだけヘリウムガスを消費するかが決まります。実験室での評価データからおおよその値は算出できますが、実際の入熱量がわからないと厳密な数値での説明ができません。

 通常、お客様でもクライオポンプ本体にどれだけ熱量が入っているか、わかっていることはほとんどないので、実際にエコクライオポンプを搭載して従来機との比較することで、その効果が数値ではっきりとわかります。

 お客様の工場での環境や装置、プロセスによって入熱量が違いますが、概ね3~5割の省エネは実現できています。

 しかし、従来機と載せ替えてお客様の工場で評価する場合には、お客様の生産を止めることになり、限られた時間の中で行わないといけないので、その点は苦労しています。

 どの業界でもそうだと思いますが、従来機からの載せ替えや新規製品の採用には、これまでと同等の性能や機能は当たり前で、その上でさらに優れた性能や機能、トータル的なコストメリット、サポート体制などをアピールする必要があります。加えて、「通信機能が欲しい」「制御系でこういう信号を出力して欲しい」など、お客様の要望にはできる限り応えるようにしています。


【キヤノンアネルバの装置ならではのメリットや強みを教えてください。】

 当社のエコクライオポンプシステムは、クライオポンプへの負荷に対し自律的に出力の制御を行うのが特徴で、勝手に省エネをしてくれる、というのがひとつの大きな特徴です。

 同じクライオポンプでも口径や用途が異なると、その熱負荷には大きな違いがありますが、そういった違いに関わらず、それぞれのポンプが最適な出力になるよう制御されるのです。

 そのため1台のコンプレッサで、口径の異なるクライオポンプを運転することが可能ですし、あわせてクライオトラップなどを運転することも可能です。従来のシステムでは、なかなかこのようなことはできませんでした。

クライオポンプ説明図_2

 例えば、1台の真空装置にさまざまな口径のクライオポンプやクライオトラップが搭載されていたとしても、容量さえ足りていれば1台のコンプレッサで最適な運転制御を行うことができますので、省エネ効果だけではなく装置コスト面でも大変有利です。従来のシステムでは、コンプレッサ2台がそれぞれ口径の異なるクライオポンプ2台を運転していたものが、当社のエコクライオポンプシステムでは、コンプレッサ1台で口径の異なるクライオポンプ2台を制御することが可能になるケースなどが多いですから、省スペースにもなります。

 実際に他社システムとの比較では、コンプレッサの数が半分以下で済んだケースがありました。クリーンルームなどスペースが限られている場所では、コンプレッサの省スペース化ができることは大きなメリットとなりますから、この点も当社製品の強みといえます。もちろんコンプレッサを減らすと消費電力も格段に減らすことが出来ます。


【今後は製品をどうしていきたいですか?】

 エコクライオポンプシステムは、これまで当社装置に最適化されたシステムで実績を重ねてきました。そして昨年、エコクライオポンプシステムの新たな制御ユニットとなるP-031CCクライオコントローラ(通称:エコドライバ)をリリースしました。

 この制御ユニットは、従来からあるシンプルなクライオポンプシステムと同じようにリモート制御(接点入出力)で運転することができます。

 これにより従来型クライオポンプシステムを採用してきた真空装置メーカーやユーザーでも、簡単にエコクライオポンプシステムに切り替えることが可能となりました。

 これをきっかけにして、クライオポンプシステムは、エコ制御が当たり前になるくらいに普及させることができればと思います。


【販売や営業面での苦労は】

 従来のシステムから載せ替える場合、省エネにより削減出来るコストだけを考えると、省エネ化はなかなか進まないと考えています。

 機能を追加し省エネ性能が高くなった分、コストも若干高くなっていますから、省エネ以外の多くのメリットを含めどうやってお客様に納得していただくかが重要だと考えています。

 装置がアイドリング状態でも、真空維持のために常にポンプは動いています。そのため、装置に搭載されている機器の中で真空ポンプだけが多くの電力を消費しているというタイミングが生じます。その時の消費電力をグーッと下げることで、装置全体としての消費電力を下げることにつながることもあります。

 今後は実績を積み、稼動装置での載せ替えだけでなく、設備投資の段階から当社のポンプを採用していただけることを目指していきます。

 海外の設備導入が活発な地域でもシェアを伸ばせるように頑張っていきたいと思います。


【最後に購入してくれる方への一言お願い致します。】

クライオポンプ製品写真

 エコクライオポンプシステムの省エネ効果は圧倒的です。

 実際に使用していただければ、どれだけ省エネの効果があるのかが実感していただけると思います。お客様の設備に搭載して消費エネ効果の確認もできますので、ぜひ一度お試しください。



※2016年インタビュー取材



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